「天神南」おでん安兵衛

副業というか、大学院の研究活動としての博多出張、おおむね用事を終えた。黒い出汁のおでん、安兵衛に行きたい。

夕方の早い時間だけど曇りがちだったためか、暗くなるのが早いなと思った。

お店に到着したところ、営業開始には少し早いみたいだった。開店の支度をしている気配があったから少し待とうと思った。

暖簾が出て、店に入る。なんと、予約でいっぱいということだった。

けれども、一人ということと、時間が早く予約の客までに時間があることから、時間限定であることを了承した上で入店させてもらった。文字にすると平坦な感じがするけど、とても丁寧に説明、案内してくれて、かなり恐縮してしまった。

お燗をつけてもらう。

お通しは味噌田楽だった。肉味噌と柔らかな大根、この味噌だけで一合いけそうな気がする。

安兵衛

さて、時間が限られているので、おでん鍋から、どれを食べるべきかを思案する。

安兵衛

選びに選んだ種。何しろ、チャンス一回だと思ったから。

ロールキャベツ、大根、卵、厚揚げ、がんもどき、ちくわ。

安兵衛 黒い出汁のおでん

この卵、客に出されるまでに4日かかっているという。がんもどきも自家製だし、真っ黒の大根も特徴的。

キャベツの味染み。おでんの出汁の味わいと、キャベツの甘みの味わいとが感じられる。これも長い仕込みの時間をかけたと思われるが、素材と調理との重ね合わせだろうか、シミジミとする。

厚揚げとがんもどきが、被るかなと思ったけれど、そんなことは無かった。厚揚げは、くたっとした具合が、好みにぴったりだし、がんもどきは芋なのかな、ほっこりとした具材が混ぜ込まれていた。

卵がいいね、しっかりと煮えた青色が見える黄身、その黄身を出汁に落として、そこを楽しむ。日本酒が止まらなくなる。

ちくわは、さっと出汁に潜らせただけに見えたが、これが、またいい。ちくわそのものの旨さもあるけど、出汁に燗付けしたかのような具合がいいのでしょう。

大根は、ほんとに柔らかい、驚くことに中まで黒い。黒い出汁は、色の濃さとは裏腹に端麗であり、旨味の深さがあった。

おでんの人気店は、とてもホスピタリティに溢れるお店だった。

次は、予約して、かみさんと訪問したいと思った。


お店:おでん 安兵衛
住所:福岡県福岡市中央区西中洲2−17